ペイフォワード

 先日、映画を見ました。「ペイフォワード」というアメリカの映画です。
 物語は、中学一年生の主人公のクラスで、「もしきみたちが世界を変えたいと思ったら、何をする?」と先生が問いかけるところから始まります。
 そこでその少年が考えついたのが、善意を受けた人が受けた人にではなく、他の三人の人に善意を施す、すなわち、「善意の先贈り(ペイフォワード)」というものです。一人が三人、三人が九人、九人が二十七人、と善意が広がるというのです。そして、十回贈られるとなんと二百万人を越える人々に広がります。もしも百人の人が始めたらどうでしょう。二億人となり、日本の人口を遙かに超えてしまいます。
 さて、映画の中では主人公自体、なかなか思うように善意が行われないのですが、本人の気が付かないところで、その運動が広がっていくのです。重傷を受けた町のチンピラが幼い女の子に治療の順番を譲ったり、恩を受けたホームレスの若者が自殺しようとしている女性を助けたりと…。
 しかしこの少年が、他の人たち、周りの人々を幸福にしておきながら、最後は亡くなるのです。物語の結末を話さないようにとなっているのですが…。そして、葬儀には全米から人々が駆けつけるというストーリーです。昔のネズミ講、いまでいうマルチ商法のような発想ですが、このように、みんなが幸せになれるネズミ講は大歓迎ですね。
 人間は一人では生きていけません。「私は誰の手も借りずにここまで生きてきた」という人は、世界中を探してもいないでしょう。さて、みなさん、今までに周りの人たちからうけた善意をどのように「ペイフォワード」しますか?

心の散歩道VOL.16(平成13年)より

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