お彼岸

昨日から、お彼岸に入りました。
さすがにお彼岸、朝晩は凌ぎやすくなりました。しかし昼間は30度越え。
まあ、これももう少しの辛抱でしょうね。

お彼岸の由来

「彼岸」という言葉は、「悟りの世界(彼の岸)」を意味します。それに対して、私たちが生きるこの世界は「此岸(しがん)」と言います。
春分・秋分の日は昼と夜の長さがほぼ同じで、偏りのない中道を重んじる仏教では大事な期間とされています。また古くから「彼岸」と「此岸」がもっとも近づくと考えられ、この期間に六波羅蜜と呼ばれる修行を行えば、此岸から彼岸に行けると言われています。

六波羅蜜とは・・・彼岸に至るために実践すべき六つの行い

「六波羅蜜」とは、私たちが悟りに至るために実践すべき6つの行いのことを言います。

1.布施(ふせ)
施しの心。物だけでなく、優しい言葉や思いやりの気持ちを差し向けることも布施です。
2.持戒(じかい)
自分の行いを正しく保ち、節度を守ること。日々の生活の中で、約束や礼儀を大切にすることも持戒です。
3.忍辱(にんにく)
怒りや苦しみに耐えること。つらい状況や人間関係の摩擦に出会っても、心を乱さず受けとめる姿勢です。
4.精進(しょうじん)
たゆまず努力を続けること。小さなことでも一歩ずつ進もうとする心が大切です。
5.禅定(ぜんじょう)
心を落ち着けること。静かに座って呼吸を調えたり、心を一点に集中することです。
6.智慧(ちえ)
正しいものの見方を養うこと。自分中心の考えから離れ、物事の真実を見抜く力です。

先祖供養は六波羅蜜の実践

1. 先祖供養は「布施」の実践

お墓参りや仏壇でのお参りは、ご先祖さまへの感謝をあらわす「布施(ふせ)」の心です。花やお供え物をささげることも布施ですが、それ以上に「思いを向けること」自体が布施の実践となります。

2. ご先祖に恥じない生き方=「持戒」

供養はただ形を整えるだけでなく、「ご先祖さまが見守ってくださっている」と思いながら正しく生きることです。日々の生活で約束を守り、人を傷つけないように努めることは、持戒の実践であり、ご先祖さまへの何よりの供養となります。

3. 苦しみを受けとめる姿勢=「忍辱」

先祖供養の場では、過去の出来事や家族の歴史に思いを寄せることがあります。時にそれはつらい記憶も伴いますが、それを受けとめ、心を整えることも忍辱の実践です。

4. 供養を続ける姿勢=「精進」

お墓参りや仏壇のお参りを一度きりで終わらせず、続けていくことが精進です。ご先祖さまへの供養を通じて、自分自身の心を養い、家族のつながりを守ることができます。

5. 祈りの中の「禅定」

お墓や仏壇の前で手を合わせるとき、自然と心が落ち着きます。静かな祈りは禅定の実践であり、ご先祖さまとの心のつながりを深めます。

6. 先祖の教えを糧にする「智慧」

ご先祖の歩んだ人生や残してくれた教えに耳を傾けると、今を生きる私たちの智慧となります。智慧を得て正しく生きることこそ、先祖供養のもっとも大きな意味といえるでしょう。

お彼岸・・・自分自身の生き方を整える期間

このようにお彼岸は、先祖供養をすることにより六波羅蜜を実践し、彼岸(悟りの世界)に至ろうという期間なのです。また、「自分自身の生き方を整える」期間でもあります。
自分を見つめ直し、日々の生活の中でも六波羅蜜を常に意識し、少しでも彼岸に至れるよう、精進することが大切なことだと思います。

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