親族を装うなどして電話をかけ、様々な名目で現金が至急必要であると信じ込ませ、動転した被害者に現金を振り込ませる「オレオレ詐欺」をはじめとする特殊詐欺が、大きな被害をもたらしています。これまで、官民一体となった各種対策が講じられてきましたが、犯行手口の巧妙化・多様化が進み、昨年1年間で、認知件数が約1万4千件、被害総額は約280億円となるなど、依然として被害状況は高水準で推移しています。
「オレオレ詐欺」が流行り出した頃、似たような詐欺防止のため、警察や新聞やテレビなどの報道機関が手口を詳細に報道したことで「これなら自分もできる」と、模倣犯が激増したというのですから困ったものです。
詐欺に気づいた人の通報により刑事が受け渡し場所に張り込み、現金の授受が行われた瞬間に受け子を逮捕する「だまされたふり作戦」というのがありますが、最近はこの作戦を逆手に取った詐欺があるそうです。
まず犯人Aが電話をかけ「オレ、オレ」などという普通の振り込めサギの手口を行います。そして次に、警察と名乗る犯人Bが「先程あなたのお宅にオレオレ詐欺の電話がかかってきませんでしたか? 犯人が自宅の玄関まで向かうと思うので、現金を渡してください。警察が見張りをしているので、お金を盗んだ後にすぐ逮捕します」と嘘の電話をかけます。次に玄関の前に犯人Aが現れ、その犯人Aにお金を渡すと、犯人Aは逃走し、もちろん逮捕されません。まさに「だまされたフリ作戦詐欺」ですね。
犯人は、どうやってだましてやろうか、どうやってお金を盗ってやろうかと、四六時中考えているわけですから、犯人の方が一枚も二枚も上手です。
何はともあれ、少しでも不審に感じたときには家族に確認や相談をすることが一番です。そのためには、平素から家族間でコミュニケーションをとっておくことが大切になります。
心の散歩道VOL.37(2022年発行)より
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